春の節句と旬の食べ物・イベント
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上巳の節句
春は桃の節句が有名です。二十四節気において正確には「上巳(じょうし、じょうみ)の節句」と呼び、三月三日がこれにあたります。由来は、中国で行われていた川で身体を清める儀式に端を発すると言います。
身を清めることで、付着していた悪い気や流れを落としその後の無病息災を願っていた習慣がありました。それが平安時代に日本へと伝わり、日本では紙やわら、草木で作った人形を身代わりとして川や海へ流し、自分の災厄をそれに乗せてお祓いするようになりました。
これが流し雛となり、貴族階級の間で広まっていたひいな遊びと合わさり、ひな祭りというお祝いの儀式として定着するようになりました。
桃が関連するようになったのは、旧暦の三月三日に桃の花が咲くため、そして風水的に桃は魔よけの効果があるとされてきたためだと言われています。ひな祭りではれんこんやエビの入ったちらし寿司やハマグリのお吸い物を頂きます。
端午の節句
五月五日は子どもの日として知られ、ゴールデンウイークの一日として定着していますが、1948年以前は端午の節句として重んじられていました。季節の節目を祝う伝統的な五節句の一つとして数えられ、古くは江戸時代に法的に制定された国民の休日でした。
奈良時代にその原型があったとされ、稲の豊作を願って田植えの前に穢れを払う儀式が発展したとして知られています。魔よけに古くから使用されてきた菖蒲(しょうぶ)と薬草のヨモギを軒先に飾り、災厄を家から遠ざけることができると信じられていたようです。
中国の故事に基がある鯉を飾ることで、男の子の出世や健やかな成長を願う風習がこれに加わります。鎧兜を飾るのは、命を守る武具を象徴とすることで、男の子の安全やたくましい成長を願う気持ちを表現しています。
春に旬の食べ物
春に旬を迎える食べ物はそら豆やタケノコ、タラの芽、菜の花、にら、ふきのとう、わらびなど、日本を代表する山菜が並びます。果物ではいちごやなつみかん、ネーブル、はっさく、びわなどがあります。
この頃にはさよりやさわら、真鯛、メバル、ホタルイカ、あさりなどの魚介類も水揚げの時期を迎え、食卓は冬の寒さを乗り越えて彩り豊かな味わいで満たされるようになります。春は門出を祝う儀式や食事が多くなります。
日本の冬は寒さが厳しいため、その峠を越したことを祝うかのように食材も豊かになっていきます。節句でも成長や旅立ちを祝うものがほとんどで、昔の人々が新しいスタートを切るための節目を重んじてきたことが分かります。