着物や着付けを仕事にしている人にもおすすめ
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生命が目覚める春の装い
意外なほど種類が多い和服の世界では、季節の変わり目や行事を重んじて非常に多様な装いを楽しみます。二十四節気の季節を敏感に捉える知識がとても役に立つでしょう。
例えば、春を迎え始める三月は暦の上で「啓蟄(三月八日ごろ)」「春分(三月二十日ごろ)」、四月に入ると「清明(四月八日ごろ)」の節気が始まるころとなります。
啓蟄という言葉が示す通り、虫が出てきて活発に活動し始めるようになるこの時期には、着物にも蝶の柄などが多くなります。
蝶は自然界の中で植物の花粉や種を運ぶ役割を担っていることから、桃の節句と相まって若い女性の成長と発展を願い、振袖などによくあしらわれます。
その季節は花柄や桃色を基調とする着物も多く見られます。桜をモチーフにした美しい帯にはつい見とれてしまうものです。
暑い夏の装い
夏の暑さが本番を迎える八月はどうでしょうか?八月には「立秋(八月八日ごろ)」「処暑(八月二十日ごろ)」、そして九月には「白露(九月八日ごろ)」が始まります。
立秋や処暑の時期は暑さが非常に厳しく、汗をかくことは避けられません。放っておくとシミや黄ばみの原因となるため、着物の扱いにも一仕事手間が求められます。
しかし暦の上では秋が始まるため、着物の柄には秋草やススキなどの秋の柄を取り入れていくことが勧められます。素材は・竪絽、平絽、紗、麻、翠紗などが使用されます。色は涼し気なものを合わせることが多く、若草色などの薄く優しい色を選びます。
夏結城や夏お召しなどの透ける素材を使用して涼しさを演出するのも定番です、薄く風を通すため実際に涼しいというメリットもあります。
寒さを迎える冬の装い
冬が始まる十一月には、「立冬(十一月八日ごろ)」「小雪(十一月二十日ごろ)」などの暦を迎えます。この頃には羽織などの上着が必須です。
厚手の羽織でなくてもいいので一枚上に羽織るものを楽しみます。小雪のころには寒さが一段と厳しくなるため、羽織も厚くなっていきます。
外国ではコートを脱ぐのが礼儀ですが、日本では羽織を着ていても失礼には当たりません。見た目にも羽織を着ている方が引き締まった印象を与えて美しく映ります。
冬の着物は色が濃いものが多く、黒やこげ茶、紺を基調とした羽織で引き締める姿がよく見られます。二十四節気の季節の節目は着物の着替えにも重要な暦です。